今日もしおれ気味。

前向きも良いけど、私は今日も大体しおれ気味。

父、付き添う

前回、私が11歳当時の入院で見てきた(自分の母含む)付き添いお母さんたちの話を書きました。

今回は普段全く影も形も存在感のない(ひどいな)父たちの話を。

 

siosio-pakira.hatenablog.com

 

 ☆

とある時期、私のいた病室の入院患者は、私を含めて入院が長引いている子たちで固定されていました。

5人部屋だったけど珍しく3人になり、全員に付き添いのお母さんがいる状態でした。

私のほかは割と小さい子2人。両方吸引などのケアが必要な子でした。

 

ずっと一緒にいれば母同士も親しくなります。

 

どのような経緯でそうなったのか私にはわかりませんが、母たち3人は子どもが比較的安定していることもあって、同じ日にそれぞれの夫(病児からすれば父です)と付き添いを交代することにしました。

 

父、はじめての付き添い

父たちが付き添えるのは1日のみ。

付き添った日が平日だったのか休日だったのかは覚えていません。

ただ当時は週休二日制ではありませんでしたので(全員カレンダー通りの休みの職種でした)、それぞれ父たちがタイミングを合わせて休暇を取った、もしくは祝日を挟んだ連休を利用して交代したのではないかと思われます。

 

私は前もって説明されるし、父が付き添いということに少々不安を覚えつつも(そりゃやっぱり、母とはツーカーで話が通じるけど、父だとそういうわけにもいかないし)納得しています。

が、他の2人は説明しても小さくて理解が難しい。

 

いつものように父がお見舞いに来たなと思ったら、母が外出の準備を始めます。

これまでもそういうことはあったけど、24時間母がいないとなれば話は別。

最初はお母さんがいなくてもなんとなく過ごせていたけれど、帰ってこないことに動揺して泣き始めます。

お父さんたちはなんとかかんとか、お子さんを泣かさないよう(とは言えまあ無理)頑張っていました。

 

父たちが付き添える条件のようなもの

この3人一斉に付き添いがお父さんに代わるということは、

①お母さん同士が親しくなり、またそれぞれが父に付き添いを交代して欲しいと思った。

②お父さんたちがその話に乗り、かつ休みが合った。

③病児の状態が比較的安定していた。

という3点が重なった上で可能になったのだと思います。

 

②は実はなかなかに難しいことだと思っています。

休みを合わすことはもちろんですが、父たちがある程度「子のケアができる」状態でないと付き添いを交代することはできません。

私の父は私の話を聞きながら何をするのか判断しますが、他の2人は「あ、そろそろ吸引しなくちゃ」とか「そろそろ経管栄養の時間だな」という事前察知能力とでも言いましょうか、それがなければいけないし、ある程度実践したことがなければいけない。

かつ、病児の状態をそこそこ把握している必要があります。

でないと先生や看護師さんとコミュニケーションを図ることができません(これは私の父にも当てはまりますね)。

 

③の病児の状態が安定…というのも必須でしょう。

病児の状態があまりよくない状況では、残念ながらお父さんでは対応が厳しいのではないかと思います。

何より、普段お子さんと一緒にいるお母さんがそういうお子さんと離れるのは抵抗があるのではないでしょうか。

 

 

もう一つ重要なのは、付き添いが一斉に男性に代われたこと。

一人でもお母さんが付き添いされていたら、やはりお父さんが付き添うことは難しいと思います。

例え病児の付き添いだとしても、赤の他人の男女が同じ空間で一晩過ごすことは厳しいと私は考えています。

それは父たちを信頼していないとかいうことではなく、寝るときに知らない異性がそばにいたら嫌だなとか…今風に言うならセンシティブな問題ではないでしょうか。

 

お父さん部屋

夜勤の看護師さんが見回りに来たとき、3人の父を見てとてもびっくりしていました。

「うわ!え?お父さんたちが付き添いなの?」

そして

「じゃあ今日はこの部屋はお父さん部屋やね」と言いました。

 

病棟としても(もしかしたら病院としても)、お父さん部屋と名付けられるくらい、お父さんが(しかも複数)子の付き添いすることは珍しかったのだと思います。

 

 

この日は大きな変化もなく過ぎていきました。

良かった良かった。

 

でも、お父さん部屋になってわかったことがあります。

 

父たちは父同士でほとんど話さない。

 

単純に男性女性で比較することはできませんが、やはりコミュニケーション能力が高いのはお母さんたちだと思います。

そりゃもちろん看護師さんや先生相手には会話しますが、おしゃべりを楽しむとかいう機能は完全にオフ。

いやぁ…静かな一日だったという記憶があります。

 

☆ 

母たちより身長も体重も大きな父たち。

お父さんの一人は添い寝できたはずだけど、小さい子ども(そばには医療機器あり)の邪魔をしないようにベッドで添い寝するのは大変だったと思います。

また、私の父含む残りの2人も、ボンボンベッドではなかなか眠ることができず、腰も痛んだようで、その大変さが身に染みたようでした。 

 

私の父があの日どういう気持ちでいたかはわかりません。
特にこれといって変化のない、けれどしんどい娘の相手をするのはどうだったのでしょう。

 

…とか、ここまで書くと私の父がものすごくできた人っぽく感じるかもしれませんが、騙されてはいけません(おい)。

 

私の父だって、今は穏やかで気の良いおじさんになっていますが、子どもから見てもなかなかになかなかな頑固親父でしたし、嫌いな時期もありましたし、いやはや…ねぇ?笑

そこはうすぼんやりと察していただければと思います。 

 

 

昔も今も、お父さんが病児の育児や治療に参加するってハードルが高いのかしら。

病児だった皆さん、どうでした?

そして今現在バリバリ付き添い入院しているお母さんたち、どうですか?

 

約30年前の父の付き添いを思い出しつつ、そんなことを考えています。